大相撲の三賞とは?選考基準・賞金額・該当者なしの裏側を徹底解剖【2026年最新】
大相撲の本場所千秋楽、館内放送やテレビ中継で発表される「三賞」の受賞者一覧は、幕内後半の優勝争いと並ぶ最大のクライマックスです。土俵を大いに沸かせた力士たちに贈られる栄誉であり、土俵下で手渡される大きな賞状や金一封のシーンはおなじみですが、その選考基準や舞台裏で行われる選考委員会の駆け引き、さらには「該当者なし」が生まれる力学まで詳しく知るファンは多くありません。
関脇以下の力士にとって、三賞の獲得は実力の証明であると同時に、将来の三役昇進や大関昇進への試金石でもあります。2026年現在の最新角界事情を踏まえ、殊勲賞・敢闘賞・技能賞の明確な違いや賞金額、歴代最多記録から「金星」との決定的な違いまで、プロの視点で余すところなく解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:三賞(殊勲賞・敢闘賞・技能賞)の対象は関脇以下の幕内力士で、受賞には「8勝以上の勝ち越し」が絶対条件。
- 要点2:賞金は各賞200万円。千秋楽の午前中に開かれる三賞選考委員会での記者投票と審判部の協議を経て決定される。
- 要点3:平幕が横綱を倒す「金星」との違いや、「条件付き受賞」「該当者なし」の選考基準を知ることで千秋楽の緊張感が倍増する。
【三賞の基礎知識】殊勲賞・敢闘賞・技能賞の違いと賞金額のリアル
大相撲における「三賞」とは、1947年(昭和22年)11月場所に日本相撲協会が制定した表彰制度です。それまで優勝力士だけに偏りがちだったスポットライトを、土俵を盛り上げた他の力士たちにも当てる目的で創設されました。
対象となるのは「関脇・小結・前頭」の幕内力士に限られます。大関および横綱は、常に高いレベルの勝利と品格が義務付けられている地位であるため、選考対象から除外されます。また、どれほど印象的な相撲を取ったとしても、「本場所で8勝以上の勝ち越し」を決めていなければ受賞資格を得られません。
| 項目 | 殊勲賞(しゅくんしょう) | 敢闘賞(かんとうしょう) | 技能賞(ぎのうしょう) |
|---|---|---|---|
| 主な選考基準 | 優勝力士や横綱・大関を撃破し、場所の趨勢を左右した活躍 | 千秋楽まで優勝争いを牽引、または二桁勝利など目覚ましい奮闘 | 決まり手の多彩さ、卓越した足腰の粘り、正統派の寄り・押し技術 |
| 賞金額(1賞あたり) | 一律200万円(本賞) | 一律200万円(本賞) | 一律200万円(本賞) |
| 受賞人数の制限 | 制限なし(複数人受賞・該当者なしあり) | 制限なし(複数人受賞・該当者なしあり) | 制限なし(複数人受賞・該当者なしあり) |
| 編集部の着眼点 | 「大物食い」のインパクトが最重視される部門 | 新入幕力士や若手、ベテランの意地が評価されやすい | 選考委員の目が最も厳しく「該当者なし」頻度が高い |
各賞の賞金は200万円です。もし1場所で殊勲賞と技能賞の「ダブル受賞」を果たした場合は400万円、滅多にありませんが「トリプル受賞(三賞独占)」を果たした場合は600万円が授与されます。幕内力士の月給とは別に支給される一時金であり、力士や部屋を支える後援者にとっても極めて大きな実利と名誉をもたらします。

【選考の裏側】三賞選考委員会の全貌と「千秋楽勝利が条件」のドラマ
三賞は、場所がすべて終わってからゆっくり話し合って決めるものではありません。千秋楽の午前中(通常は午前10時〜11時頃)、国技館内にある会議室で「三賞選考委員会」が一発勝負で開催されます。
会議室に集まるのは、日本相撲協会の審判部長・審判部副部長・審判委員の親方衆と、東京相撲記者クラブに所属する新聞社・通信社・テレビ各社の記者たちです。取材現場の証言によると、選考委員会ではまず記者クラブ側からのノミネート力士が推薦され、その後、親方衆と記者による激しい意見交換が行われます。
ここで相撲ファンを熱くさせるのが、「千秋楽の勝利を条件として受賞」という条件付き選考です。
千秋楽の朝の段階で7勝7敗の力士は、まだ勝ち越していません。また、9勝5敗の力士が「二桁勝利(10勝)に到達すること」を受賞の条件とされるケースもあります。選考委員会で過半数の賛成を得て推薦されても、当日の結び前や幕内取組で敗れれば、その瞬間に受賞の栄誉も賞金200万円も水泡に帰すという過酷なプレッシャーが力士の両肩にのしかかります。
意外と知らない「該当者なし」の真相|基準の厳格化とネットの賛否
大相撲のニュースを見ていると、時折「殊勲賞・技能賞は該当者なし」といった結果を目にします。「せっかくの千秋楽なのだから誰かにあげればいいのに」と感じる読者もいるかもしれませんが、ここには大相撲が守り続けてきた伝統の重みがあります。
「該当者なし」が発生する主な理由は以下の通りです。
- 勝ち越し力士の不在:横綱を破る大金星を挙げた平幕力士が、場所終盤に失速して7勝8敗で負け越した場合、規則上どんなに素晴らしい相撲であっても受賞資格を失います。
- 技能賞における技術的純度の追求:技能賞は単に珍しい決まり手を決めただけでは選ばれません。親方衆やベテラン記者から「押し相撲の型が崩れていた」「まわしの引き付けに強引さがあった」と指摘され、得票数が過半数に届かず見送られるケースが頻発します。
- 上位陣総崩れによる「殊勲」の形骸化:横綱・大関陣が序盤から複数休場したり不振を極めたりした場合、「大関を倒したこと」自体の価値が相対的に下がり、殊勲賞の候補者が出ない事態が発生します。
インターネット上の相撲コミュニティやSNS上でも、三賞選考の結果に対して「技能賞のハードルが高すぎるのではないか」「ファン投票の特別枠を作るべきだ」という声と、「厳格な基準があるからこそ賞の重みが保たれる」という意見が毎回激しく交わされています。

「金星」と「三賞」の決定的な違い|力士報償金とキャリアへの影響
よく混同されがちなのが、平幕力士が横綱を倒した際に与えられる「金星(きんぼし)」と三賞の性質の違いです。両者は評価される対象も、力士の懐に入る仕組みも根本的に異なります。
「金星」は、一対一の個別の対戦結果に対して与えられる称号です。金星を獲得すると、日本相撲協会から支給される「力士報償金」の支給標準額がベースアップします。これは引退するまで毎場所の給料に半永久的に上乗せされ、引退時の養老金にも跳ね返るという、力士の生涯年収に直結する仕組みです。そのため、場所の通算成績が負け越しであっても金星の権利は消滅しません。
一方の「三賞」は、15日間の本場所全体を通じた総合的な活躍に対して贈られる表彰です。賞金200万円はその場所限りの臨時ボーナスであり、力士報償金の基礎点数には加算されません。しかし、三賞を何度も獲得することは、番付編成会議において「小結・関脇への昇進」を決定づける強力なエビデンスとなります。
なお、通常の三賞に該当しないものの、新記録の達成や特筆すべき奮闘を見せた力士に対し、極めて稀に「特別賞」が授与される例もあります。
【歴代最多記録】昭和・平成・令和を彩る「三賞のスペシャリスト」たち
大相撲の歴史において、三賞を最も多く獲得した力士は誰なのか。公式記録を振り返ると、横綱・大関に上がらずとも土俵を沸かせ続けた伝説の関脇・平幕力士たちの名が浮かび上がります。
歴代最多受賞記録の頂点に君臨するのは、元関脇・安芸乃島(現・高田川親方)です。通算受賞回数は驚異の19回(殊勲賞7回、敢闘賞4回、技能賞8回)。横綱キラーとして鳴らし、通算金星16個(歴代1位)とともに打ち立てたこの記録は、現代の土俵でもいまだ破られていない金字塔です。
歴代記録の系譜を整理すると、以下のレジェンドたちが並びます。
- 通算三賞受賞数 歴代1位:安芸乃島 勝巳(19回)
- 通算三賞受賞数 歴代2位:魁皇 博之(15回 / のち大関・現浅香山親方)
- 通算三賞受賞数 歴代3位:鶴竜 力三郎(14回 / のち横綱)
- 殊勲賞最多受賞:魁皇 博之(10回)
- 敢闘賞最多受賞:貴闘力 忠茂(10回)
- 技能賞最多受賞:栃錦 清隆(9回 / のち横綱)
魁皇や鶴竜のように、三賞の常連となって土俵を席巻した後に大関・横綱へと駆け上がっていった力士もいれば、安芸乃島や貴闘力のように、上位陣を脅かす門番として長年土俵を支えた職人力士もいます。三賞の記録は、力士それぞれの土俵人生の縮図そのものと言えます。
【プロの結論】大相撲観戦の解像度を極限まで高める3つの着眼点
大相撲中継をより深く楽しむために、千秋楽の三賞争いには以下の視点で注目することをおすすめします。
第一に、「14日目終了時点の勝ち星」をチェックすることです。9勝5敗で千秋楽を迎えた若手や平幕力士がいれば、「千秋楽に勝って10勝(二桁)に乗せれば敢闘賞が有力になる」という構図が見えてきます。
第二に、「上位陣の星取表」との連動です。今場所の優勝争いを引っ張る横綱や大関に土をつけた平幕力士がいる場合、その力士が千秋楽で8勝目を挙げられるかどうかが殊勲賞受賞の分かれ目になります。
第三に、「技能賞候補の立ち合いと技術」です。単に勝つだけでなく、相手の攻めをいなす職人技や、教科書通りの美しい下手投げなどが出ているか。選考委員の親方衆が唸るような相撲を探すことで、相撲観戦の解像度は格段に向上します。

【三賞】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:大関や横綱が圧倒的な強さで全勝優勝しても三賞をもらえないのはなぜですか?
A1:横綱・大関は相撲界最高峰の地位であり、勝つこと自体が当然の責務と位置づけられているためです。三賞はあくまで「関脇以下の力士」の奮闘を称える制度として設計されています。
Q2:三賞の賞金200万円は税金や部屋の取り分はどうなっていますか?
A2:力士の一時所得として課税対象になります。部屋ごとの慣習によって一部が若い衆への祝儀や部屋の運営基金に充てられることもありますが、基本的には獲得した力士個人の功績に対する名誉の報償金です。
Q3:1場所で同じ力士が殊勲賞と敢闘賞など、2つ以上の賞を同時に獲ることは可能ですか?
A3:可能です。「ダブル受賞(2賞同時獲得)」は年に数回見られる光景であり、賞金も400万円になります。極めて稀ですが、殊勲・敢闘・技能のすべてを同時に獲得する「トリプル受賞(三賞独占)」を果たした力士も過去に存在します。
まとめ:今後の動向と千秋楽のドラマを味わい尽くすために
大相撲の三賞は、単なる表彰制度にとどまらず、関脇以下の力士たちが己の意地と生活、そして将来の出世を賭けて戦う土俵の縮図です。「勝ち越し」という絶対条件があるからこそ、千秋楽の一番には優勝争いとはまた違った痺れるような緊張感が宿ります。
2026年の大相撲界でも、台頭する新鋭力士や土俵際で粘るベテランたちが三賞を巡って熱いドラマを繰り広げています。千秋楽の取組を観戦する際は、ぜひ力士たちの星取と三賞選考の行方に注目し、本場所の熱気を存分に味わってください。 (出典: 三 賞(Yahoo!ニュース))